海外に現地法人を設立した後、次にすることの一つに就労ビザの取得があります。就労ビザは、雇用パスと言われたり、英語だとEmployment Pass(EP)やWork Permitなどとも言われます。
通常、会社秘書役(カンパニーセクレタリー)を通し会社登記をした後、就労ビザの申請も会社秘書役が代行してくれたり、代行業者を紹介してくれるようですが、会社秘書役がローカルだったこともあり、会社設立後のサポートが何もありませんでした。
当時、マレーシアに知り合いも何もない状態でしたので、ローカル会社秘書役だけが頼りだったのですが、、、気を取り直して自分で探すことにしました。
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最初に移民局(イミグレーション)に出向いてみた
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まずは就労ビザの申請自体を自分で出来ないものかと、JETROやインターネットで情報収集。ある程度情報が頭に入ったところで移民局に行ってみました。(マレーシアでは手続きが変更になっている場合があるので確認が必要です)
クアラルンプールで就労ビザを扱っている移民局は、プトラジャヤというKL市内から30分くらい離れた場所にあります。移民局は、 KL市内にも数ヶ所あるので情報くらいは得られるだろうと、一番近い移民局に出向いてみました。窓口の列で順番待ちをし、問い合わせると、ここでは就労ビザは扱ってないと言われ、あっさり終了。取り扱いのある移民局を紹介してくれました。
次に訪れた移民局では窓口にたどり着くまでに時間がかかりました。(マレーシアのお役所建物内は表記がすべてマレー語で英語はありません。ブミプトラ政策によりスタッフは全てマレー人、英語レベルは人によってまちまちなので、どこに行けばいいか迷います。)
やっと見つけた窓口では、必要なことは全てウエブサイトに載っているからと言われ、ウエブサイトのアドレスを教えてくれるのみ。詳しく聞きたくても、英語を話すのが面倒なのか、ウエブサイトに全て載っているからの一点張り。結局たらい回しにされました。
仕方がないので、オフィスに戻り、教えてもらったウエブサイトを見る事に。オンライン申請とは便利でありながら、コミュニケーションが取れないので、分からないことが出てきた時に不便。電話をしても出なかったり、なかなか取り合ってもらえません。またマレーシア英語は、アクセントが強いので慣れるまで大変です。
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就労ビザ代行業者に連絡をとってみる
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次に就労ビザ取得を代行してくれる会社に連絡をとってみました。マレーシアでは、就労ビザが必要な場合、一般的にどの会社もイミグレーションの外国人サービス部門ESD (Expatriate Service Division) のオンラインから申請を進めます(2015年時点)。
しかし、条件が満たせばIT会社であればマルチメディア開発公社(MDeC※)のeXpats Service Centreから、また投資関連であればマレーシア投資開発庁(MIDA)から就労ビザを発給してもらうことができるようです。
日系代行業者をお願いすると安心だけどやはり高くつく。でも、全く知らないローカル業者に頼むのも勇気がいる。ということで自分で申請することを再検討。
中国・上海で仕事をしていた時に自分で就労ビザ取得の経験があったので、ある程度はスムーズに進められるかと思っていたのですが、、、この時点ではまさかマレーシアでの就労ビザ取得に10ヶ月も掛かると思っていなかったのです。
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MDeCに就労ビザ申請、第一ステップ会社登録で却下される
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弊社はウエブ制作会社をしており、MDeCが管轄するMSCステータスも申請中だったため、MDeCのeXpat(www.expats.com.my/ICT/)よりオンライン申請することにしました。
こちらで申請が通れば早く就労ビザが取得できます。基本的に必要書類はESDで申請するのと同じ書類が必要です。必要書類を全てアップロードし、Submission StatusがProcessingに変わりました。あとはSubmission Statusの動きを待つのみ。
が!
1週間。。。。
2週間。。。。
うーん、申請したのはラマダン明け直後。休み明けでまだ動き遅いかな。待てど暮らせど、返事が来ない。。。電話で問い合わせをしてみる、、、
「いや〜、今審査できる人が一人しかいないからちょっと時間が掛かるんだよねー」
数日後再度電話、、、
「申請して何日経った?Prossessing は、Prossessingだから来週には審査できるんじゃないかな」
さらに1週間後に3回目の電話、、、
「まだ連絡来ない?じゃあ、メールしてみて・・・」
教えられたメールアドレスにメールをすると、、数日後、郵便局の兄ちゃんがMDeCからの郵便書類を持ってきました。これこれ、待ってた書類!
「・・・・・」
「お宅の会社の業種はITではありません・・」
「ガーーーン」
また電話。電話に出てくれたお兄ちゃんによると、MSCステータスを取得する前の会社はESDで申請するのだとか、、またMSCステータスを取得した後発給できるビザは、エンジニア系の専門職ビザのみとか何とか、、それならそうと早く言ってほしかった。。※実際はそんなこともないようですが、人によって言うことが違うのはマレーシアあるあるです。
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この時点で分かったこと
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就労ビザ申請自体は、オンラインなのでご自身もしくは会社ローカルスタッフでも申請可能です。しかし、提出書類のカンパニープロフィールなどは、「見せる書類」なので、日々膨大な書類を見ているお役人たちに分かりやすく作成してないと後回しにされるような気がします。
ご自身でトライされる方はある程度時間がかかることを覚悟して望まれるか、ビザ代行会社に依頼されたほうがよいかと思います。
ローカルの銀行に法人口座を開設する際、就労ビザがないと外国人を署名権限者にできなかったり、個人の口座開設もできません。また、運転免許も国際免許のままでローカルの免許証に切り替えができません。
また、90日に1回出国すれば訪問ビザでマレーシアに滞在することは可能ですが、仕事をする場合は短期でもビザの取得を求められているため、3ヶ月前後の出入国を繰り返しているとイミグレーションで質問され、入国拒否されるケースも出てきます。
代行を通した場合でも、最短3ヶ月〜、遅いと1年かかるケースもあるようですので、とにかく早めに準備をされることをおすすめします。
ということで、再度ESDにて申請し直し。
続く。
関連記事:
マレーシア就労ビザの取得方法ーESD会社登録編
マレーシア法人口座開設と就労ビザの複雑な関係
※MDeC (Multimedia Development Corporation / マルチメディア開発公社)は、2016年4月11日より、Malaysia Digital Economy Corporation(MDEC)に名称変更されました。
コメント
ほとんどの日本人は、マレーシアでスムーズに仕事を進められない方が多いようなのですが、紆余曲折あれど仕事を進めるコツを最初からご存知なのですねー。
このワークパーミットの申請方法は、とっても参考になる記事です。日本から来たばかりですと日本式で仕事を進めるので、自分で申請しても代行業者を利用しても、マレーシアはダメだと言って挫折する話ばかりを聞いております。それを一人で進めてしまうなんて素晴らしいですねー。
物語としても、引きこまれて読んでしまいました。また続編の ESD ( Expatriate Services Division) に申請のお話を楽しみにしております。
コメントありがとうございます。就労ビザ取得がこんなに大変だと思わなかったのですが、この後もまだまだ苦労は続きました。ぜひ続編もおつきあいください。
突然すみません。2016年1月にマレーシアで会社を設立しました。会社設立代行して頂いた日系の会社秘書(カンパニーセクレタリー)にて、ワークパーミットもお願いしたのですが、先を見越した会社設立となっていないことや、頂いた情報が実際の状況に適していないこともあり、ワークパーミット以外の事についても、全く役に立たない状況のため非常に困っております。自分で進めた方が良いのではないかと考えております。メールアドレスを記載しておりますので、アドバイス頂けますと幸いです。宜しくお願いします。
ご質問ありがとうございます!ワークパーミットでお困りとのこと、ご苦労されていることと存じます。私のほうでお役に立てるか分かりませんが、別途メールさせていただきましたので、ご確認くださいませ。
こんにちは!変申し訳ありませんが質問さ大せていただいてもよろしいでしょうか。
私は今ワークパーミットの更新を自分で行っている最中です。
その前に新しくパスポートを更新したのでその新しいパスポートにシールを
貼ってもらわないといけません。
場所はどこに行けば良いのかわからない状態です。
もしご存知でしたらとおもいまして。
よろしくお願いします。
Chiaki Sabata
Chiakiさま
コメントありがとうございます!新しいパスポートへ査証のシールをはるだけでしたら、下記「MYXpats Centre」へお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。前回、私はそちらでシールを貼ってもらいました。電話ではなかなか対応が遅い場合があるので、古いパスポートと新しいパスポートをお持ちになり、直接出向くのがよいかと思います。
MYXpats Centre:
Level 16, Surian Tower,
No 1 Jalan PJU 7/3 , Mutiara Damansara
47810 Petaling Jaya, Selangor Darul Ehsan
Operation Hour: 月曜から金曜の 9:00 am 〜 5:00 pm。
もし、上記がダメであれば、プトラジャヤのイミグレ Level3 で教えてくれるかと思います。
Expatriate Services Division (ESD):
Immigration Department of Malaysia Level 3 (Podium)
No 15, Persiaran Perdana, Precint 2
62550 Putrajaya